山口県立美術館 YAMAGUCHI PREFECTURE ART MUSEUM

けむり

香月 泰男 かづき やすお

1969(昭和44年)

油彩/カンヴァス

〈画家のことば〉
見知らぬ異郷につれて来られた兵隊たちは、何かにつけてはげしく望郷の念にかられた。
私たちの部隊の近くを、満州里とチチハルを結ぶ鉄道が通っていた。汽車は部隊の北側を通って興安嶺に向って消えてゆく。大自然の中に置かれた汽車は、ひどく小さく、まるで玩具のように見えた。音は遠いので聞えないが、煙は列車の何倍もの大きさになって、のたうちながら流れてゆく。
あれに乗ったら日本へ帰れる。日本へ帰る人が乗っているかもしれない・・・・・・。何度こんなことを考えたことだろう。昔はこの汽車に乗って欧州へ留学した人たちもあった。福島繁太郎さんも、かつてこの汽車で、ここを通ったそうである。

『シベリヤ画集』(新潮社、1971年)

香月泰男【かづき やすお】
生没年 1911~1974(明治44年~昭和49年)
山口県大津郡三隅村(現・長門市三隅)に生まれた香月泰男は、東京美術学校で油彩画を学び、美術教員の傍ら国画会を中心に作品を発表しました。1967年、太平洋戦争への従軍と戦後のシベリア抑留の経験を描いた「シベリア・シリーズ」により、第一回日本芸術大賞を受賞。その作品は今日も多くの人々を惹きつけています。

寸法 72.7×117.0cm
形状 額装