山口県立美術館 YAMAGUCHI PREFECTURE ART MUSEUM

ほうてん(みぎ)(ひだり) 奉天(右)(左)

香月 泰男 かづき やすお

1970(昭和45年)

油彩/カンヴァス

〈画家のことば〉
8月15日、私たちの部隊は、補給廠をつくるため、朝鮮へ南下する貨車に乗っていた。私たちは貨車の上で敗戦を知った。鴨緑江沿岸の安東まで来て、ソ連の武装解除を受けた。私たちを乗せた貨車は、故国へ背を向けて、再び奉天へ戻った。ここでソ連兵のジープや自動小銃に監視され、北陵のキャンプへ入れられて、部隊の再編成が行われた。新品の冬服が支給された時、少なくもこの冬を越すまでは日本に帰れない、いやシベリヤ行は間違いない、とどの兵隊の胸にも、不安が黒雲のようにひろがっていた。

『シベリヤ画集』(新潮社、1971年)

香月泰男【かづき やすお】
生没年 1911~1974(明治44年~昭和49年)
山口県大津郡三隅村(現・長門市三隅)に生まれた香月泰男は、東京美術学校で油彩画を学び、美術教員の傍ら国画会を中心に作品を発表しました。1967年、太平洋戦争への従軍と戦後のシベリア抑留の経験を描いた「シベリア・シリーズ」により、第一回日本芸術大賞を受賞。その作品は今日も多くの人々を惹きつけています。

寸法 (右)72.9×116.1cm(左)72.9×116.1cm
形状 額装