山口県立美術館 YAMAGUCHI PREFECTURE ART MUSEUM

とうど 凍土

香月 泰男 かづき やすお

1965(昭和40年)

油彩/カンヴァス

〈画家のことば〉
列車は、大地が病んでいるように黒ずんだ湿地帯を過ぎ、ツンドラ地帯へ入った。このあたりは10月中旬だというのに、すでに冬が訪れて、固い凍土が高地を覆っていた。そんな中にソ連の戦車が、あざやかなキャタピラの跡を残して走っていくのが見えた。ツンドラに印されたキャラピラの跡は、翌年の春のおとずれまでは決して消えまい。私は軌道に踏み敷かれた骸骨を描くことによって、愚かしくも残酷な、戦争の無意味さを表現してみたいと思った。

『シベリヤ画集』(新潮社、1971年)

香月泰男【かづき やすお】
生没年 1911~1974(明治44年~昭和49年)
山口県大津郡三隅村(現・長門市三隅)に生まれた香月泰男は、東京美術学校で油彩画を学び、美術教員の傍ら国画会を中心に作品を発表しました。1967年、太平洋戦争への従軍と戦後のシベリア抑留の経験を描いた「シベリア・シリーズ」により、第一回日本芸術大賞を受賞。その作品は今日も多くの人々を惹きつけています。

寸法 112.0×162.3cm
形状 額装