山口県立美術館 YAMAGUCHI PREFECTURE ART MUSEUM

うみ(ぺーちか)ふゆ 海〈ペーチカ〉冬

香月 泰男 かづき やすお

1966(昭和41年)

油彩・紙/カンヴァス

〈画家のことば〉
冬の日暮は早く、午後5時には真暗になった。電燈がないので、ススのひどい白樺の皮を燃した。作業の疲れから口をきくのもしんどかったが、ペーチカをかこんで話すことといえば、きまって故郷の風物、食物、家族のことだった。手をさしのべてあたっているペーチカの、表面のしみや凹凸が、地図に見えることがある。ここがシベリヤ、日本海、その向うに横たわるのが日本、山口はあの辺になる。ずいぶんこれは遠いぞ。そんなことを胸の中で思いながらペーチカをみつめていた。同じ思いの仲間もいたに違いない。

『シベリヤ画集』(新潮社、1971年)

香月泰男【かづき やすお】
生没年 1911~1974(明治44年~昭和49年)
山口県大津郡三隅村(現・長門市三隅)に生まれた香月泰男は、東京美術学校で油彩画を学び、美術教員の傍ら国画会を中心に作品を発表しました。1967年、太平洋戦争への従軍と戦後のシベリア抑留の経験を描いた「シベリア・シリーズ」により、第一回日本芸術大賞を受賞。その作品は今日も多くの人々を惹きつけています。

寸法 111.9×161.9cm
形状 額装