山口県立美術館 YAMAGUCHI PREFECTURE ART MUSEUM

ゆき(まど) 雪〈窓〉

香月 泰男 かづき やすお

1963(昭和38年)

油彩/カンヴァス

〈画家のことば〉
収容所の内部は、壁も天井もむき出しの丸太で囲まれていた。部屋の中は、ペーチカと人いきれでむれ返り、南京虫がようしゃなく、おとろえた身体に喰いついた。
話の仲間に加わらず、ひとりでぼんやりと、窓から外を眺めている男もいた。私もしばしばその一人だった。シベリヤの家はみんな二重窓だったが、ここの窓は一枚だった。厚く凍りついた窓の霜をぬぐって見る外には、何も目新しいものが見えるわけではない。ただ、来る日も来る日も、いつ春の訪れるとも知れない、極寒の白い風景が支配していた。

『シベリヤ画集』(新潮社、1971年)

香月泰男【かづき やすお】
生没年 1911~1974(明治44年~昭和49年)
山口県大津郡三隅村(現・長門市三隅)に生まれた香月泰男は、東京美術学校で油彩画を学び、美術教員の傍ら国画会を中心に作品を発表しました。1967年、太平洋戦争への従軍と戦後のシベリア抑留の経験を描いた「シベリア・シリーズ」により、第一回日本芸術大賞を受賞。その作品は今日も多くの人々を惹きつけています。

寸法 117.0×73.0cm
形状 額装