山口県立美術館 YAMAGUCHI PREFECTURE ART MUSEUM

れつ

香月 泰男 かづき やすお

1961(昭和36年)

油彩/カンヴァス

〈画家のことば〉
1946年5月、移動命令が出た。半年前、トラックにゆられて来た同じ道を、こんどは徒歩でシーラへ向かった。ボロの軍衣をまとい、靴ずれの足をひきずった、乞食のような一隊がのろのろ歩いた。道々、食べられそうな草を見つけると、引抜いて口に入れ、水たまりの泥水が渇きをいやした。二日二晩歩いてシーラの町へついた。町の近くになるとソ連兵は、我々に列をととのえさせ、歌を歌えといった。日本の捕虜は虐待もされずに、こんな元気にやっているぞ、というところを示したかったのだろう。我々はかつての軍歌をうたったが、何の感興もわいては来なかった。

『シベリヤ画集』(新潮社、1971年)

香月泰男【かづき やすお】
生没年 1911~1974(明治44年~昭和49年)
山口県大津郡三隅村(現・長門市三隅)に生まれた香月泰男は、東京美術学校で油彩画を学び、美術教員の傍ら国画会を中心に作品を発表しました。1967年、太平洋戦争への従軍と戦後のシベリア抑留の経験を描いた「シベリア・シリーズ」により、第一回日本芸術大賞を受賞。その作品は今日も多くの人々を惹きつけています。

寸法 116.7×72.8cm
形状 額装