山口県立美術館 YAMAGUCHI PREFECTURE ART MUSEUM

ほし(ゆうしてっせん)なつ 星〈有刺鉄線〉夏

香月 泰男 かづき やすお

1966(昭和41年)

油彩/カンヴァス

〈画家のことば〉
シベリヤの自然の中でも、つかのまに過ぎ去る夏の美しさを忘れることが出来ない。夏の美しさは星の美しさである。汗臭い収容所をぬけ出して、涼しい外で寝そべっていると、一つ二つと星がまたたきはじめ、見る見るうちに満点星の饗宴となった。日本へつながる星の美しさにひたっていても、囚われの身の現実を忘れ切ることは出来なかった。目を落とせば、夜目にもしるく非常な有刺鉄線が浮かび上って来るのだ。シベリヤにいる間じゅう私は星と有刺鉄線の間に引き裂かれた、囚われの絵かきでしかなかったのだ。

『シベリヤ画集』(新潮社、1971年)

香月泰男【かづき やすお】
生没年 1911~1974(明治44年~昭和49年)
山口県大津郡三隅村(現・長門市三隅)に生まれた香月泰男は、東京美術学校で油彩画を学び、美術教員の傍ら国画会を中心に作品を発表しました。1967年、太平洋戦争への従軍と戦後のシベリア抑留の経験を描いた「シベリア・シリーズ」により、第一回日本芸術大賞を受賞。その作品は今日も多くの人々を惹きつけています。

寸法 162.0×91.4cm
形状 額装