山口県立美術館 YAMAGUCHI PREFECTURE ART MUSEUM

-35゜

香月 泰男 かづき やすお

1971(昭和46年)

油彩/カンヴァス

〈画家のことば〉
零下35度(-35℃ともいう)までは屋外作業があった。引込線に停った貨車から積荷をおろす作業もやった。車卸し作業は相手が鉄製のものばかりだから非常である。大体この寒さの中で、手袋なしに金属にさわろうものなら、皮膚がはりついてしまい、無理にはなそうとすると、皮膚がはがれてしまうのだ。焚火も満足に燃えなくなる寒さだ。重い鉄塊は遠慮なく、骨と皮の兵隊の上にのしかかった。
こんな重労働で、ほとんど負傷者が出なかったのは、この収容所が以前とくらべ格段によかったことと、兵隊たちの神経が、ダモイ(帰国)の一念にこり固まっていたからであろう。

『シベリヤ画集』(新潮社、1971年)

香月泰男【かづき やすお】
生没年 1911~1974(明治44年~昭和49年)
山口県大津郡三隅村(現・長門市三隅)に生まれた香月泰男は、東京美術学校で油彩画を学び、美術教員の傍ら国画会を中心に作品を発表しました。1967年、太平洋戦争への従軍と戦後のシベリア抑留の経験を描いた「シベリア・シリーズ」により、第一回日本芸術大賞を受賞。その作品は今日も多くの人々を惹きつけています。

寸法 162.0×96.8cm
形状 額装